マドリッドで欧州鉄鋼会議

 マドリッドへ赴任して鉄鋼のビジネスが停止状態になっていることを知り、折角スペイン転勤となったのにこれでは何時日本へ返されるかわからないとの思いで不安な日々が続いていました。幸い、前任者は非常に有能なスペイン人スタッフを残してくれ、鉄鋼分野に詳しいバスク人アドバイザーもいました。二人の意見を聞くと頼もしい限りで、ビジネスの再開は私のロンドン支店鉄鋼課説得にかかっているような状況でした。前任者はロンドン鉄鋼課と組んでスペイン鉄鋼製品の中近東・アフリカへの輸出商内を創設し相当大きく展開したのですが、丁度交代の時期にトラブルが重なり大きな損害が出ていたのです。スペイン人スタッフの評判はロンドン支店でもピカイチで、スペインメーカーともしっかりしたパイプが出来上がっていて、客先を厳選すればビジネス再開は可能なのですが、日本人マネジャー、つまり私が経験なく未知数だったのです。

 ロンドン鉄鋼課は取引が全然なくてもこれまでの経緯からマドリッド鉄鋼課の経費を当面負担して面倒を見るとの話でしたが、私はデュッセルドルフ鉄鋼課からの引き合いに何も考えず応じ小さな輸出契約ができました。しかし、これがロンドン鉄鋼課長の逆鱗に触れたのです。よく考えれば、ロンドンに面倒を見てもらっている立場から、同じ会社とはいえ他店と契約する場合は少なくともロンドンの了解を得てからやるべきだったのです。「○○さんは激怒して、もうマドリッドとは取引をしないし経費の面倒も見ないといっているから、とにかく電話して謝れ」、とのアドバイスをロンドン鉄鋼課の日本人スタッフから電話でもらいました。当時、私は同じ社内のことで何故そんなに怒るのかピンときていなかったので、電話で堂々と正論を盾にロンドン鉄鋼課長にとことん食い下がり、1時間以上の長電話となって相手は根負けしてくれたのか事無きを得ました。と言うより、雨降って地固まるの喩えの如く、これほど本気でロンドン鉄鋼課長と話し合ったのは初めてで、これを契機にビジネス再開に向け大きく動き出したのでした。
 そして間もなく、新規の顧客でしたが政府組織で信頼度が高いリビアの輸入資材買付公団向けに丸棒3万トンという大契約が成立し、スペイン鉄鋼製品輸出ビジネスの本格的な再開となったのです。
 ヨーロッパ各店の鉄鋼担当者を集めて欧州鉄鋼会議を半年に一度開くのが慣わしでしたが、しばらく間が開き1年ぶりで開くこととなり、マドリッド開催を立候補して採用されました。日本から欧州への鉄鋼輸出は年を追って減少、ヨーロッパ各店の鉄鋼課は如何にして生き残るかがいつも鉄鋼会議の大きなテーマでした。鉄鋼外国間商内はその一つの方向で、リビア向けに大口契約を成約し鉄鋼外国間商内をダイナミックに再開したマドリッドは注目を受けつつありました。そんな時のマドリッドでの鉄鋼会議開催で、現地店として会議や懇親パーティ手配の幹事役で大忙しでしたが、スペイン人スタッフと私は懇親パーティの後は開放感も手伝い有頂天で飲みまくって、最後は二人切りとなり真夜中の三時か四時頃まだ開いてる店があったのでしつこく入りました。こんな店がマドリッドにもあるのだと思わせるほどとても豪華な雰囲気で、銀座の高級クラブのように美貌の女性が横に座り、一応了解を得ながらも高そうなシャンパンをボトルでどんどん注文するのです。さて、出るとき支払う金額は酔いを醒ますほど高額で、私のクレジットカードだけでは限度オーバーで支払い切れず相棒のスペイン人スタッフのクレジットカードも必要となりました。当時の日本円にして10万円以上の高額、翌日、支店長に頼んで交際費扱いにしてもらいました。

【ココのつぶやき】

♪ きょうも、まだかわいがってもらってないんだっ、ねんまつはいそがしいから? ♪

♪ おっ、しめしめ、カップルがこっちにくるぞ、こんどこそっ! ♪

♪ あれっ、とおりすぎちゃった、きょうもだめかな、ガクンッ ♪

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