Vinho verde(ヴィニュ・ヴェルドゥ、あおい=若い白ワイン)

 リスボンで私の大好きなところの一つにFeira popular(フェイラ・ポプラール)という遊園地がありました。ここは一年のうち夏場中心の半年間しか開いていないのですが、市内でも広大な敷地内にsardinha(サルディーニャ、いわし)の塩焼きと二つに開いて炭火で焼いたfrango(フランゴ、チキン)がメインなオープン・エアーのレストランがいくつもあり、どちらも味付けは塩だけと思いますが、材料が新鮮で実に旨く、真夏の夜にはそれを目当てに何度も出かけていきました。炭火焼きの煙が立ちこめる中、サルディーニャ一人前4〜5匹、そして、その場で揚げたポテトチップが山盛り添えられたフランゴ1羽をひとりで食べるのですが、この時にいつも決まって飲むのが冷やしたvinho verde(ヴィニュ・ヴェルドゥ、あおい=若い白ワイン/直訳は緑色のワイン)で、若いワインのせいかアルコール度が低く感じられ爽やかな酸味が料理によく合いのどごしも最高でぐいぐい飲めました。
 その後何年も経ってマドリッド駐在となりましたが、夏休みに家族を連れて車でポルトガルを旅行した折にもリスボンではFeira Popularにでかけました。ひとりではなく今度は奥さんと2人の子供が加わった自分の家族でsardinhaとfrangoを食べながら、このvinho verdeを飲んだときは、いろいろな想いが込み上げてくるほどに懐かしく本当に最高のひと時を過ごした思いでした。そして、ここは遊園地。食事のあとは子供たちといろいろな乗り物に乗り夜が更けるのを忘れました。
ただ、この頃はスペインからでも物価が遥かに安いと思えたポルトガルでしたから、リスボンだけでもと気張って・無理して最高級のリッツホテルしかもスイートに宿泊したのですが、「リッツは庶民的なFeira popularやいわしの塩焼きとは若干違和感あるなぁ...」、と思っていたら、案の定、ホテルを出発する朝、ボーイを呼んで中古で買ったシトロエンCXをホテルの正面玄関まで移動、荷物を積み込んでもらいチップをあげたまではよかったのですが、全員乗車して颯爽といざ出発の時どうしてもエンジンがかからず、結局、修理を頼み、出発できたのはその6時間後でした。
 いまでも私はスペイン人machos(男子)に倣って白ワインは決して飲まないのですが、日本でもごく稀にお目にかかることができるこのvinho verdeだけは例外です。
 日本では二つ開きにしたフランゴの炭火焼は煙がでて屋外のバーベキューでも簡単ではありませんが、鶏料理と言えば、東京本社の近くに飛び切り旨い「生地丼」を昼間だけ出す焼き鳥屋があり、私はそれを真似て、arroz con pollo asado a la barbacoa(バーベキュー風焼き鳥生地御飯)として私の「スペイン風料理」のレパートリーに入れています。スペイン風といっても内容は生地丼そのものですが、スペイン風の名をつけてカレー皿に盛りつけ、スペイン人にも結構好評です。これでは申し訳ないということであれば、ご飯をガーリックライスにするともう少しスペイン風になりスペイン人の口にもっと合うかも知れません。

《Receta レシピ》
 最初に、私は塩と砂糖にはこだわりがあります。基本的に自然から外れたものは嫌います。塩でいえば、Mg(マグネシウム)、K(カリウム)、Ca(カルシウム)などを取り除きNaClの純度を高めNa(ナトリウム)過多となった食塩は食用でなくて工業用に近いものです。昔ながらの製法でにがり成分を残したものが身体にいいのに決まっています。砂糖についても、精製された真っ白な白糖は、滋養分を取り除かれカロリー分だけが残ったもので体内に入ると血液中から栄養分を吸着する作用があり危険と言われています。化学精製されていないミネラル成分を含む茶色い色が残る粗糖が望ましいと考えます。これは白米と玄米の関係も同様です。
Arroz con pollo asado a la barbacoa:
若鳥の生地焼き御飯:
 小なべに醤油と砂糖をいれよくかき混ぜ、からくなく甘くもない好みのポイントに調整し弱火にかけ少し熱しておく(タレの準備)。この加減で料理が旨いかまずいか決まる。
 ガスコンロ下の両面焼きグリルを予熱してから奥にムネ肉手前にモモ肉を入れ中弱火で皮に焦げ目がつくまでよく焼く。肉が焼けたら、まずモモ肉をできるだけ水平に取り出しタレが入った小なべを近づけその中に皮の上に溜まった油を落とす(タレの味付け)。皮面を下に肉をまな板の上に置きよく磨いだ包丁の刃を大きく斜めに倒し、肉の上側にもう一方の手の指腹を軽く当てがい、力を抜く感じでできるだけ薄く斜めに切る。←上手く充分に薄く肉が切れるかどうかで生地の出来ばえがきまる。カレー皿に盛ったご飯の上にタレを少したらし、白ごまを振りその上を千切った海苔で覆う。肉をタレが入った小なべに入れタレによく馴染ませて海苔の上に載せる。肉以外に、好みと色合いで、ゆで卵、白ネギ、しし唐など塩を振り少し焦げ目がつくまで焼いて肉に添える。ゆで卵は半分に切り黄身を見せる。