Judías verdes con jamón(フディアス・ベルデス・コン・ハモン、モロッコインゲンの生ハム炒め)

 スペインの一般的なレストランであればメニューに必ずある前菜ですが、「野菜が欲しいけれど生野菜のサラダはどうも」という気分のときには合うかもしれません。ガーリックがよく利いたバージンオイルに包まれ柔らかいが炒められて引き締まったモロッコインゲンに塩味の生ハムがよく調和し、なぜか無性に食べたくなることがある一品です。 私はこれにあっさりと塩だけ振りかけた茹でじゃがいもを添えます。





《Receta レシピ》 
 最初に、スペインの生ハム(Jamón、ハモン)のお話です。
 通常、スペインで生ハムというのは豚のモモを荒塩だけで、乾燥した低温の、本来、山岳地方で作られるjamón serrano(ハモン・セラーノ)のことを指します。Serranoとは「山岳地方の」の意味です。Bocadillo de jamón(ボカディージョ・デ・ハモン、生ハムサンド)、 melón con jamón (メロン・コン・ハモン、生ハムメロン)、そして本題の judías verdes con jamónにつかわれるのもjamón serranoです。学校の給食にも使われる手ごろな生ハムで、比較的安価ですがこれはこれなりに旨いものです。 しかし、広義には同じjamón serranoですが、ランクが上で価格も段違いに高く、刃幅が細くて長い専用包丁で1枚1枚丁寧に切り皿の上に並べられ、ビールやワインのつまみに前菜として食べられる、色が濃くて身が引き締まり脂がのったjamón ibérico(ハモン・イベリコ、イベリコ豚の生ハム)があります。イベリコ豚は一般に黒豚といわれていますが、種類によりいろいろで足・脚や蹄が黒っぽいものや斑点があるものなど様々です。
 Jamón ibéricoは、イベリコ豚の種類、どんぐり(bellota、ベジョタ)の投与量、飼育方法(放し飼いがいい)、熟成期間などでランク付けされ、特に、bellotaの投与量が重要で正式な呼び名が次のように順位付けられます。
  No.1 de Bellota、No.2 de Recebo、No.3 de Cebo Campo、No.4 de Cebo
 つまり、Jamón ibérico de Bellotaが最高級品で、原則的にbellotaだけで飼育されたものです。特に有名なのがアンダルシア州Huelva県の山村、Jabugo(ハブゴ) 村産のJamón ibérico de Bellota de Jabugoで最高に旨いです。
 以前、スペインや南欧からの生ハムの輸入は禁止され、口蹄疫がその理由とのことで非関税障壁ではないかと思っていましたが、宮崎県での口蹄疫被害の甚大さを知ると納得できるものでした。ある程度良質な生ハムが日本で作られるようになり一部レストランなどに卸されていますが、デパートではスライスされ真空パック入りのスペイン産jamón ibéricoを見かけることがあります。非常に高価ですが、イタリア産のやわらかい生ハムprosciutto(プロシュート)より断然旨いと思います。
Judías verdes con jamón:
ロッコインゲンの生ハム炒め(茹でジャガイモ添え):
 モロッコインゲンは水洗いし両端をカットして捨て、三つ切りにして皿に載せラップして予め電子レンジで暖めておく。メークイーンは茹でて皮を剥き縦に四つ切りにして塩を振り各皿に2切れずつ添える。生ハムはスペイン産は高価なので、簡単にはスーパーで売っている安い薄切りのパック詰めなどを代用する。
 フライパンにバージンオイルをいれ中強火で熱し大きめにみじん切りしたにんにくを入れ焼きめがついたら暖めておいたモロッコインゲンを入れ少しオイルと馴染ませてから白ワインまたは料理酒と適当にカットした生ハムを入れてよく炒め、最後に塩を振って塩味を調整して皿に盛る。