福島第一原発事故 汚染水の苦悩

 2号機の取水口付近にある電源ケーブルを収めるコンクリート製ピット(たて抗)に亀裂があり、そこから高濃度に汚染された水が海へ流れ出ている状況です。ピットは毎時1000ミリシーベルト以上の高い放射線量を放つ2号機のトレンチとつながっています。現状のサンプリング結果では魚や人体への影響はないに等しいような状況ですが、この高濃度の汚染水の海への流出が長期間続くとそうは行きません。
 一方、原子炉圧力容器内の燃料棒を冷やすため、冷却装置が復旧するまでは圧力容器内への注水を継続する必要があり、その結果、明らかに放射性物質を含む水の漏出が続いていて、タービン建屋地下、トレンチ、ピット等に汚染水を送り続けている状況です。
 そのような状況の中で、タービン建屋地下に溜った汚染水を取り除かない限り冷却装置の復旧作業が出来ないのですが、取り除いた汚染水を保管したいタービン建屋の復水器が満水で、その水を復水貯蔵タンク、そしてサージタンクへビストン移送する作業がポンプの送水能力が小さいこともあり手間取っています。その間も圧力容器からの汚染水の漏水は続いているのです。
 ピット亀裂からの高濃度放射性物質を含んだ水の海への流出を止めるため、昨日、吸水ポリマーといっしょにおがくずや新聞紙がピットに無造作に投入されたのとことですが、東電はこの流出を止めたくないといか思えません。ピット付近は放射線濃度が高いので作業環境が悪いのは分かりますが、おがくずや新聞紙はないでしょう。東電としては、「優先順位からして汚染水の流出は当面放置する」とは言えないのでしょうが、流出を止めれば圧力容器からの漏水でいつまで経ってもタービン建屋地下の汚染水を取り除けない可能性があります。
  また、圧力容器からの汚染水漏出についても、原子力安全・保安院が圧力容器自体に重大な損傷はないとしているのにこれだけ大量の漏水が続くとは考えにくいことです。「放射性物質の汚染水を環境に垂れ流す」なんて口が裂けても言えないので、あるレベルでの秘密了解事項として、バルブを緩め敢えて漏水させている可能性を疑います。圧力容器内への注水を続けないと温度上昇を防げないのですから、その水はいったい何処に行くのでしょうか。

 平成15年設立で400名も従業員がいる独立行政法人原子力安全基盤機構(理事長は経済産業省出身)というのがあり、「2号機、3号機と同じ型の沸騰水型原発について、地震による電源喪失で冷却できない状態が続くと、3時間40分後に圧力容器内の圧力が上がって容器が破損、6時間50分後に格納容器も破損して燃料棒から溶け出した放射性物質が外部へ流出する」という研究結果が昨年10月に出ていたとの読売報道がありました。
 この報道だけではよくわかりませんが、そんな短時間で破損するものなら、地震直後の冷却装置停止で、圧力容器や格納容器が破損していて漏水している可能性もあります。一番危険なのは高濃度の放射性物質流出が更に拡大して防ぎ切れず、人が近づけなくなって作業が長期間停止、放置された原子燃料が臨界点に達し破損した圧力容器を破って牙をむくことです。


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