福島第一原発事故 − 耐震設計

 タービン建屋の海側にあるトレンチと呼ばれる配管やケーブルを通す坑道のたて坑に本来ないはずの水が地表面ギリギリまで水が溜っていることが発見され、水の表面からタービン建屋地下1階の溜り水と同水準の高濃度放射線が検出されました。
 タービン建屋とトレンチは配管やケーブルを通すためコンクリート管でつながっていますがゴム材で厳重に密閉され隙間からの漏水は絶対ないよう設計されています。トレンチがある場所は放射線管理区域外なのでタービン建屋から漏水などで放射性物質が漏れ出ることがあってはならない場所です。
 それにもかかわらず、原子炉圧力容器内の燃料棒損傷により発生した放射性物質が、1号機から3号機まですべてで、漏水の形でトレンチまで漏れ出たということは、津波被害というよりも、地震の揺れによる影響で原子炉建屋からタービン建屋を経てトレンチまで漏水が起こる広範囲の亀裂が発生していることを意味します。
 揺れの勢いの強さ示す最大加速度は、6号機原子炉建屋地階で東西方向に「431ガル」を記録していて原子炉の設計耐震強度「448ガル」以内であったとされていますが、原子炉だけでなく原発全体としての耐震設計が不十分かつ不完全であったと言わざるを得ません。巨大津波ついても1000年以上前とはいえ貞観地震の事例があったわけで、「想定外」の一言で片付けられるものでなく、安全性より経済性が優先された結果であることは否めません。
 ところで、震災直後から原子炉圧力容器内の圧力上昇を抑えるための「ベント」と呼ばれるガス抜きについて、放射性物質の放出が話題になり、また、実施後は水素爆発も起こりましたが、圧力容器内の燃料棒を冷却するために大量の海水または真水が非常用ポンプで注入され続けているのに、その行き先についてこれまで話題にならなかったのは不思議なことです。その水は当然に放射性物質を含むことが推察されたはずです。
 私は、なんとなく、圧力容器内で高熱により一旦水蒸気となったものが圧力抑制室で凝結されて水に戻りフィルターを通して外部へ排出されるようなイメージでいましたが、フィルターで放射性物質が安全なレベルまで簡単に取り除けるわけはないので、恐らく、現場の責任者は、注水された水がそのまま漏れ出て地中や海へ流れ出ている可能性も含め、その行き先について大いに懸念していたのではないかと想像します。
 結果として、トレンチの地下低い部分を満たしてからタービン建屋地下の床に溜り水となって出現したことで行き先が判明したのですが、タービン建屋には冷却装置を復旧させるための機器類や配線があり、放射性物質を含むこの溜り水を取り除かないと冷却装置復旧の作業ができない状況です。
 1号機で3台のポンプを使いタービン建屋内にある復水機へ溜り水を汲み上げる作業を続けていますが、水位はあまり下がらず苦戦している状況です。トレンチとつながっているのでトレンチの水位も同時に下げるだけの量の水をくみ出すのと、原子炉建屋から流入してくる新たな漏水をも汲み上げないといけないからです。2号機、3号機では復水機が満杯状態なので、まず、復水機の水を他に移す作業が必要な状況です。
 高濃度放射線の環境下、1号機から3号機、4号機まで大量のマンパワーが必要な、しかも時間との戦いの厳しい作業となります。溜り水の除去作業は自衛隊が適任と思いますが、担当大臣が「東電が第一義で、必要あれば協力する」程度の、今回も非常時にしては悠長と思える発言をしている場面のTV報道がありました。

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