福島第一原発事故 − 原子炉格納容器

 原子炉圧力容器の内部で核燃料を反応させその熱を水蒸気で伝えタービンを回転させて発電するのが原子力発電の仕組みですが、圧力容器は厚さ15〜30センチの鋼鉄製で原子炉本体というべきものです。原子炉格納容器はその圧力容器を覆っている厚さ3センチ程の鋼鉄でできた頑丈で気密性が高い容器で、原子炉事故が発生しても放射性物質の外部への流出を防ぐ最後の砦といわれているものです。
 3月14日付朝日新聞で竹内編集委員が指摘していますが、当初、「日本では炉心溶融が起こらない」として福島第一および第二原発の原子炉格納容器にガス放出弁が建設当時は装備されていなかったそうです。1979年米国スリーマイル島原発炉心溶融事故が発生し爆発の一歩手前まで行き、そして1986年、当時ソ連チェルノブイリ原発で炉心爆発事故が発生したため、欧米諸国で格納容器に放出弁を装備する動きが始まり、その動きに押されて1990年代半ばから放出弁の取り付けが始まったようです(チェルノブイリ原発は格納容器自体なし)。
 福島第一原発事故では1号機、2号機、3号機すべてで炉心溶融が始まり、実際に格納容器の放出弁が開かれて放射性物質と水素を含んだガスが放出されましたが、欧米の動きに押され非積極的に放出弁を装備したという経緯から想像できるように、水素を含むガスが放出された時の検討や対策が事前に充分行われておらず、多数のけが人をだす水素爆発が次々に発生、鉄筋コンクリート製の頑丈な建屋を吹き飛ばすだけでなく、放射線を発する瓦礫を撒き散らして作業環境を劣悪にし、恐らく電気系統にも甚大な被害をもたらし冷却装置の復旧を遅らせ危機的状況を長引かせる結果となりました。水素爆発による2号機格納容器の損傷の可能性や3号機使用済み燃料棒プールの亀裂漏水の可能性もあります。
 今回の事故の場合、すべての電源が失われて電気系統が停止し、原子炉の冷却装置も停止、辛うじて非常用ディーゼルエンジンのポンプにて圧力容器内への注水が行われている状況では、格納容器やその放出弁がどの程度最後の砦として働けるのかも不明ですが。
 「想定外」という言い訳めいた説明がよく使われていますが、事実、東日本大震災は、地震津波の規模の巨大性において少なくともわが国では1000年に1度起こるかどうかの大災害であり、そのような中で発生した原発事故で実体験として経験されている様々な事象は今後教訓として生かされないといけないと思います。

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