第3回ヨーロッパドライブ旅行 《スコットランドのネス湖編》

 ロンドンを後にして最初に目指したのはウィンザー城でした。ロンドンから日帰りで行ける手軽な観光スポットです。私たちは車で一般道を通りちょこっと立ち寄っただけでしたが、スペインで見慣れた城とは違い王宮のように立派でした。それもそのはず、エリザベス女王が週末に過ごすこともあるそうです。
 ウィンザーの次は英国のエリートが行くオックスフォード大学を覗いてみました。広大な敷地で素晴らしい自然環境の中にある風格ある建物とキャンパス、これぞ大学だという感じです。大学ではちっとも勉強しなかった私ですがこんなところだとしっかり勉強したのにと思ったものです。比較するにも及びませんが、大阪の繁華街とホテル街に挟まれたちっぽけな私の大学とはまさに月とスッポンでした。ロンドンの鉄鋼課でもオックスフォード大学出身者を採用していましたが、彼らは日本の企業では昇進が遅いだけでなく幹部になれるかどうかも疑わしいと知り、2、3年で見切りをつけやめてしまうケースが殆どのようでした。
スペインで最も歴史がある大学はSalamanca(サラマンカ)大学、ポルトガルではCoimbra(コインブラ)大学ですが、調べてみるとこれらはどちらも13世紀創立に対し、オックスフォード大学の方がより古く、十字軍が初めて遠征した1096年に講義が行われていたということで英語圏では最古です。オックスフォードと並ぶ名門校ケンブリッジ大学は、1209年に、強姦罪で告発された2人の学生が殺された事件でオックスフォード大学が一時解散されたときオックスフォード大学所属の学者が移籍して設立されたといわれています。オックスフォードよりも歴史がある最古の大学はイタリアのボローニア大学の前身Alma Mater Studiorumで1088年設立となっています。ただし、これらは西欧の大学Universityの概念によるもので、広義の意味の高等教育機関としての大学では、ゴダイゴの歌にもでてくる理想郷ガンダーラ地方の中心地、現在のパキスタンにあるタキシラの僧院が紀元前7世紀で最古、それに続くのが紀元前5世紀、インドのナーランダの学院となります。現在新興国として急速に力を見せ始めたインドですがこの地域は途轍もない歴史を持っていることを再認識させられます。西洋文明としては古代ギリシア時代の紀元前387年にプラトンが開いたアカデメイアが最古の高等教育機関です。因みに、日本では大化の改新(645年)を行った中大兄皇子こと後の天智天皇が671年に学校を創設したという日本書記の記述から、このときに官僚の教育機関である「大学寮」の起源があるとされています。
 この日はシェークスピアの家があるStratford-Upon-Avonまで行く予定でしたが遅くなったので町に入っただけで観光は翌日に回し、来る途中見かけたB&B(Bed and Breakfast)の標識へ引き返しまず泊まるところを確保することにしました。標識を頼りに進むと田園の中にある農家の安民宿のようなところでした。シャワーしかないその湯が途中で水に変わるなど、初めてのB&Bでの宿泊はあまり快適ではありませんでしたが、朝食は、卵とソーセージにパンとミルクティーがつく適度な量のイングリッシュ・ブレックファストでなかなかのものでした。
 高速道路で産業革命の都市バーミンガムを通過し片側3車線のM6号を走ると驚くのは大型トレーラー中心の交通量の多さと車のスピードです。一番右側の追い越し車線は時速150キロではすぐに後ろからの車に追いつかれライトをチカチカされて退かされます。右はマンシェスター左はリバプール、何れも産業革命に登場する有名都市ですが、私たちはビートルズ発祥の地リバプールへ向かいました。夕暮れ時にリバプールに着くと開いている店は殆どなく暗闇が迫りまるでゴーストタウンでした。華々しい産業革命時代の栄光はすっかり過去のものとなった骨董品のような街だからこそ文化が熟成されユニバーサルに広く受け入れられるビートルズが生まれたのかも知れません。
 翌日M6号は相変わらずの交通量でしたが、途中で高速道路を出てLake District(湖水地方)へ行きました。WindermereというところでB&Bを確保してから美しく豊かな自然を楽しみました。イギリスの一般道を走ると、道の両側いたるところが芝生のような緑地で羊などが放牧されていて、その豊かさに驚かされます。
 いよいよ憧れのスコットランドグラスゴーエディンバラか、迷いましたが私たちは、大きさではグラスゴーに次ぐ第二の都市ながらスコットランドの首都であるエディンバラを選びBeattockから高速道路を下りてローカルな一般道に入りスコットランドの自然を楽しみながらのんびりとエディンバラを目指しました。エディンバラの古めかしい建物の多くは煤のようなもので黒く汚れているのが気になりましたが、これがスコットランドの特徴なのかも知れません。丁度何かのお祭りで民族衣装を身に付けた大勢の人たちの行列や行進があり街は観光客で溢れていました。私たちは地方道を通ってきたせいか随分ローカルな地の彼方まで来て出会った普通の都会の印象でしたが、英国ではロンドンに次ぐ観光都市なのでした。
 Loch Ness(ネス湖)の北端の町Invernessに着くと湖に沿って走り南端のFort Augustusというローマ皇帝の名の町でB&Bより少し張り込むことになりますが安そうなホテルがあったのでそこに泊まることにしました。イギリスではロンドン以外食事の楽しみは殆ど諦めていたのですが、このホテルでの食事も含めスコットランドでは何を食べても美味しいものばかりでした。味音痴なのは質素な清教徒のイングリッシュだけなのです。来る途中のイングランドで、外見からして恐らくチェーン店と思われるステーキハウスに入りステーキをミディアムレアで頼んだのにウェルダン以上に焼かれたものが出てきたのには驚かされました。因みに、この後、英国での狂牛病が大問題になり私たち家族は未だに献血対象外となっています。
雨が降りそうな曇よりした天候の中、Fort Augustusの船着場でネス湖を周遊する小さな船に乗りました。周りの景色は今にも怪獣がでてきそうで、幼い息子は本当に存在するものと信じてネッシーが現れるのを楽しみにしていましたが、三つ子の頃から大人のこころを見透かすようなところがある娘は殆ど信じていないようでした。残念ながらネッシーは現れず、Fort Augustusのホテルには2泊して、その後はマドリッドへの帰路を急ぐことになりました。


【ココのつぶやき】

♪ ネッシーじゃないけど、こっちにもすごいのがいるぞ ♪

♪ へぇー、ゾウのはなパークのカフェにマンモスがいるんだ ♪

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