二度目のヨーロッパドライブ旅行 《音楽の都ウィーンをめざして編》

 二度目のヨーロッパドライブ旅行もマドリッドからパリまで車を列車に積んでいく夜行列車、coche-cama(コチェカマ)です。列車の食堂車で楽しい朝食を取ったあとパリに朝つくとシャンゼリゼまで行き前回と同じように日本のパン屋サンジェルマンへ立ち寄りカレーパンを買ってからドイツを目指しました。ドイツ国境に近いStrasbourgでは昼食に子供たちの希望を聞きいれマックに入りました。「フランスでもマックは同じ味」ということがわりました。
 このころから車に異変が生じていました。エアコンから水が漏れ車の床に溜まりだしたのです。実は私、日本でもスペインでも車を新車で買ったことがなく、このときのボルボも、私のバスク人スタッフJoséの知人がやっている中古車店で、最初に買ったシトロエンCXから買い換えたものでした。Joséはマドリッド郊外のゴルフ場がある高級住宅地Moralejas(モラレハス)に戸建住宅を買って移り住んだとき隣人に中古車店のオーナーがいたのです。私はこの中古車店で販売店員にエアコン(aire acondicionador、アイレ・アコンディシオナドール)やパワーステアリング(dirección asistida、ディレクシオン・アシスティダ)つきであることをはっきりと確認して購入を決めたのですが、実際に運転してみるとどちらもついていないことが分かりました。結局、このときもJosé君にお世話になり、中古車店オーナーと交渉してもらい後付ですがエアコンを無償で取り付けてもらうことになったのです。そんな経緯があったのでエアコンは一番安物だったと思いますが、それでも冷房はがんがん利いていました。エアコンというのは信じられないほどの水分を空気中から吸い取るもので、しばらく放っておくと車の床は水で溢れブレーキを踏むと後方からもどどどっと前方の運転席へ流れ込んでくる状態です。モンテカルロのビーチで使おうと子供たちのために持ってきたプラスチックのバケツにひしゃくで溜まった水を汲み取るのが助手席にいるうちの奥さんの役目になりました。ヨットでは艇内に入る波で溜まる海水や漏水を汲みだす淦汲み(アカクミ)という作業がありますが、まさにそれでした。もちろん全員ビーチサンダルに履き替えです。
 Strasbourgからは高速道路でなく一般道でドイツに入り、もみの木が密生したシュバルツバルト(黒い森)を通りました。そしてBaden-badenはさっと通り過ぎるだけのつもりでしたが、川沿いに並ぶホテルなどの建物の優雅な美しさに魅せられ、車を戻し車外にでてしばらく風景を楽しむことに。Baden-badenはヨーロッパ有数の温泉地とは聞いていましたがこんなに素敵な町だとは知らず、いつか必ずゆっくり来てみたいと心に刻みました。Baden-badenを後にしてドイツの高速道路、アウトバーンに入ると意外に空いていて嬉しくなり時速170〜180kmで走っていました。これだと2時間で300kmくらい移動できる便利さを実感したのですが。Füsssenで降りてドイツで一番美しいと言われるノイシュヴァンシュタイン城へ行きましたが長蛇の列。その日はミュンヘンのオリンピック競技場内のホテルを予約していたので、並ぶのはやめ、外から観るだけで満足してその日の目的地ミュンヘンへ急ぎました。城の近くの肉屋さんで見かけたドライソーセージが旨そうでしたので1キロぽんとまとめて買いましたが、これが本当に旨くてマドリッドに帰ってからもいいドイツの思い出になりました。ミュンヘンの名物には市庁舎時計塔の回転人形がありますが何といっても巨大なビアホールが一番の目的でした。やはりスケールの大きさというかジョッキのサイズと生ビールやソーセージの消費量が雰囲気を盛り上げ居るだけで楽しくなります。
 車でスペインからフランスに入ると車窓から見える景色の美しさに感激します。北部スペインは緑が多いですがスペインの一般的なイメージは乾燥地帯そのものですからフランスは緑が美しく、建物が綺麗なことに驚くほどです。これがドイツに入ると一層緑が深くなり建物が更に綺麗になります。そしてドイツからオーストリアに入ると緑深さは同じで田園地帯はとても綺麗ですが、町が見えると建物が古くて保守管理が行き届いていない様子がわかり生活水準が高いドイツと比べると同じドイツ語国でも相対的な貧しさを感じさせ、逆に、これがスペインからきた私たちには親しみを覚えさせました。事実、オーストリアとスペインは王室間のつながりがあり、ハプスブルク家出身のスペイン王CarlosⅠ(カルロス1世)は神聖ローマ皇帝Karl V(カール5世)でもあります。ウィーンにあるハプスブルク家のホフブルク王宮に隣接した伝統あるスペイン乗馬学校はスペイン王室とのつながりを連想させましたが、この乗馬学校で使用されてきたリピッツァ馬がスペイン馬の血統がベースとなっていることから命名されたようです。
ウィーンで一つだけがっかりしたことがありました。ヨハンシュトラウス2世の「美しく青きドナウ」から緑色の素晴らしく綺麗な川の流れを想像してきたのですが、大雨が降った後なのか曇天でベージュ色の濁流でした。しかし、音楽の都ウィーンです、真夏の旅行ですが娘のドレスや息子のスーツ、そして革靴も持ってきていて家族4人着飾ってオペラを観賞しました。こんなことができるのはやはりヨーロッパに住んでいるお陰です。内心最後まで心配でしたが、幼い息子が終了まで静かにしていてくれ安堵しました。
 この後、モンテカルロなどへ行ってからマドリッドへ帰りますが、マドリッドに着いてから車のボンネットを開けてみるとエアコンにつながるゴムパイプが一箇所外れているのがわかり、結局、これが原因で大量の水が車内に流れていたのです。2年も経たないうちに壊れるような余程安物のエアコンを付けられたのだと思い込みよく見なかったせいで旅行期間中酷い漏水に煩わされ続けたのでした。


♪ きょうはへんなてんきだな、かぜがつよいし、いまにもあめがふりそう ♪
♪ ウィーンのそらもこんなだったのかな ♪

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