セビリアの春祭りはいつ始まる?!

 日本では「セビリアの春祭り」と訳されている、スペイン三大祭りの一つ、アンダルシア地方セビージャで開かれるFeria de abril(フェリア・デ・アブリール、直訳:4月の祭り)はスペインでは文字通り「4月の祭り」なのですが、その開催日は毎年変わります。というのも、十字架にかけられて死んだイエス・キリストが3日後の日曜日に甦ったことを祝うキリスト教国で最も大切な復活祭の日付が毎年大きく変わるからです。セビージャの宗教上最も重要な祭りla semana santa(ラ・セマナ・サンタ、聖週間)は復活祭の前の日曜日から復活祭までの1週間ですが、「セビリアの春祭り」は、『4月開催が妨げられないことを条件として、聖週間後少なくとも2週間あけて始まる』ことになっています。そして、ひとたび祭りの週が決まると、その月曜日の真夜中24時に始まり次の日曜日の真夜中24時にフィナーレを迎えるのです。
 キリスト教徒にとって復活祭の日をいつにするかは歴史的に大問題のようで、キリスト教の歴史で初めて全教会が集まって紀元後325年に開かれた小アジア半島(トルコ)にあるニケアの第一回宗教会議において一旦全教会が同じ日曜日とすることで決議されたのですが、それ以降も、ユダヤ歴か太陰暦太陽暦か、ユリウス暦グレゴリオ暦かなどによる相違が絡み論争が延々と続いているようです。現在の考え方は、『春分の日の後の最初の満月の次の日曜日』となっていますが、ギリシャ正教会などの東方教会ユリウス暦を採用しているのでグレゴリオ暦を採用する欧米諸国の西方教会とは日付が異なる場合があります。因みに、2010年と2011年は西方教会東方教会は同じ日付でそれぞれ4月4日、4月24日ですが、2012年は西方教会4月8日、東方教会4月15日、2013年では西方教会3月31日、東方教会5月5日です。
 私はマドリッドに赴任して「セビリアの春祭り」の評判をよく耳にしていましたので、早々と、翌年の4月、家族を連れて車でセビージャへ行きました。セビージャにはイタリア資本で丸棒と平鋼をつくる電炉メーカーがあり、前任者のときに取引実績があったので取引再開できないかと一度出張したことがありました。そのとき先輩に勧められて宿泊したアルフォンソ13世というホテルが、5つ星ですがその名の通り豪華な宮殿を思わせる素晴らしい建築と内装の建物で非常に気に入りました。この時期の予約は難しいのですが、その電炉メーカーのマネジャーに頼み何とか2泊確保できたので、家族たちにもこのホテルに泊まらせてあげたいと思い春祭りに家族を連れて行くことを決めたのでした。因みに、このメーカーとはいつも価格が折り合わず最後まで取引はできず仕舞いでした。セビージャは大河グアダルキビルの河口から約50キロ内陸部にあり、大型船もさかのぼれるので市内の岸壁から船積みができますが、その分freight(船運賃)が割高になったのも成約に至らなかったひとつの要因でした。
 春祭りはセビージャ市内西側のグアダルキビル川に沿ったlos Remedios地区の、1,000軒以上のcaseta(カセタ)というテント小屋が設置されるReal de la Feria(レアール・デ・ラ・フェリア)と呼ばれる区域と、遊園地となるla calle del inferno(ラ・カジェ・デル・インフェルノ、地獄通り)で構成される場所で開かれます。カセタは個人、企業、いろいろなグループや組織あるいは行政が設置し、前の部分が踊る舞台、後ろの部分が飲み物やつまみを振舞うところになっています。カセタの前を通るとどのカセタの中でも女性は子供から年配者までtraje de flamenca(トラヘ・デ・フラメンカ、フラメンコダンス衣装)を身につけla sevillana(ラ・セビジャーナ)と呼ばれるセビージャ特有のフラメンコダンスを踊っているのが見えます。もちろん歌も手拍子もla sevillanaです。私たちが初めて無数のカセタが連なる通りに入ったとき、あるカセタの入口にたむろしていた4、5人の女性達に、なぜか私がいきなり中へ引きずり込まれて舞台に乗せられ踊っている皆といっしょにセビジャーナを踊らされる羽目になりました。写真を撮られましたがそれを見るとあまり様になっていない様子がよくわかりました。
 地獄通りの遊園地では、私たち家族にとって小さな出来事がありました。まだ2歳になる少し前にマドリッドに来た幼い息子が1歳半年上の姉といっしょに近所の保育・幼稚園に朝から夕方まで通い始め、わけも分からないまま外国にきていつも姉のあとからくっついていくような様子でした。3歳になる少し前のときこのセビージャの地獄通り遊園地へ来て、時間が早すぎたのかまだ誰もいない大きな滑り台の前で、それまで一人では何もできなかったのに、なにを思ったのか、このとき初めてひとりで高い滑り台の上までのぼって行き滑り降りたのでした。親ばかですが、このときばかりはla sevillanaの手拍子(拍手)を送ってやりたくなりました。



♪ ボクもセビージャのはるまつりにいきたいな ♪
♪ セマナ・サンタでもいいよ ♪
♪ ここはやましたこうえんのふんすいのまえですが ♪

♪ 下のビションフリーゼをクリックしてね! ♪
にほんブログ村 犬ブログ ビションフリーゼへ
にほんブログ村