ピレネー会談

 スペインのEC加盟が実現して輸出助成金の削減・撤廃が具体化しだし、私たちのスペイン鉄鋼製品の輸出ビジネスが激減する不安が現実味を帯びてきていたころ、ロンドン副支店長兼鉄鋼課長とアドバイザー氏に私の3人は、頭を切り替え、スペインの鉄鋼チームが今後スペインで何ができるか、初夏のピレネーに3泊くらいしてじっくり考えてみようということになりました。私はサン・セバスティアン空港があるFuenterrabia(フエンテラビア)へ飛び、アドバイザー氏と合流して彼のベンツでフランスへ入り、ロンドンから来る副支店長を迎えにBiarritz(ビアリッツ)へ行きました。サン・セバスティアンからは国内空港のビルバオよりフランスのビアリッツ空港のほうが近くて便利だったのです。
 私たちは主に昼食と夕食時の食後にレストランの椅子に座りじっくりと将来の可能性について話し合い、車中やそれ以外の時間は雑談でした。ロンドン鉄鋼課はスペインのビジネスがなくなっても大きな影響を受けない状況でしたが、親分肌の副支店長としてはそれまでスペイン鉄鋼製品輸出を大きく展開してきた私たちのチーム力を何とか生してやろうというか、鉄鋼ビジネスにはある程度見切りはつけていてもその頃急成長が見込まれた不動産事業には大いに興味があり、それらを結びつけてみようとの考えがあったのかも知れません。それまでにも不動産事業の可能性については何度か話し合いをしており、結論の方向性は初めから決まっていたともいえます。結局、行動を起こすことを決め、私たちがフィールド調査を行い何処で何ができるのか案件を具体化することになりました。
 シーズン前のピレネーは予約なしでも何ら問題なく、私たちは有名な観光地を適当に回りながらミシュランを頼りに実際に眼で見ていいレストランがあれば食事をし、いいホテルであれば宿泊しました。観光名所の中には、聖女の奇跡の泉があるLourdes(ルルド)というところがありました。1858年ベルナドッテがルルドの洞窟で祈っていると聖母マリアが現れ、そこに泉が湧きでてその水で病気が治癒する奇跡が次々に起こったという言い伝えがあるところです。
  スペイン人は「落ち」がある短編話、Chiste(チステ)が大好きな国民です。スペイン人同士が早口でチステを始めるととてもついていけず、落ちがわからないので仲間はずれになり、私は努力もしないでチステの世界は諦めていました。これには苦い思い出があります。私があまり言葉も分からずポルトガルにいたとき、ポルトガル人は集まるとすぐにチステをやりだし、私はまったくついていけずいつもその場にいてひとりだけ完全に仲間はずれで疎外感の中に置かれたことが何度もあったのです。少し時代が違いますがポルトガル人はスペイン人の比ではなくチステに熱中する民族でした。始まると互いに制御が利かず止まらないようでした。しかし、車の中でアドバイザー氏が副支店長に英語で話したチステは、スペイン語から懸命に英語に訳して話し、理解されないときは説明も入りましたので内容がよく理解できました。時間がありすぎたともいえますが、アドバイザー氏は車に乗っている間中殆どチステを話し続けたのです。
 私はあとになって格好をつけてこれを「ピレネー会談」と呼び、スペインでの不動産事業を始めるきっかけとなった会談と位置づけました。そしてこの会談のあとすぐに、私はバルセロナ空港でアドバイザー氏と落ち合い彼のベンツでフランス国境に近いコスタ・ブラバから始めてスペインの地中海沿岸の主だった不動産開発の殆どを実際に見て回るフィールド調査をスタートするのでした。



♪ サンデーおばさんたち、おはよう、ぼくもいれてちょうだい ♪











♪ ボクもカノンおばさんのママにかわいがってほしいな ♪











♪ あっ、あたらしいワンコだ ♪
♪ ボクがさきだよ、カノンおばさんのママにかわいがってもらうのは ♪









♪ ねえ、キミ、わかってるの?! ♪
♪ けんど、ボクよりおおきくてちょっとつよそうだな..... ♪










♪ しめしめ、まずはこうやってかわいがってもらわないとね ♪











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