二度目のヨーロッパドライブ旅行 《モンテカルロ編》

 初めてヨーロッパドライブ旅行をしたときにちょっとだけ立ち寄ったモンテカルロは、水着なしでビーチへ行きその華やかさに魅了されながらも場違いな格好をしていてそそくさと立ち去りましたが、またいつかきっちりした形で必ず来ようと心に決めた目的地でした。このドライブ旅行の最初の目的地ウィーンをあとにして、スイスを少しかすめ、チェルノブイリ原発事故で汚染が問題になっていたイタリアのコモ湖に沿った道を通り、ミラノ市に入るとすでに陽が沈みあたりが暗くなっていました。前回のドライブ旅行のとき大好評だったミラノの海産物レストランでの夕食時間に間に合わせようと急いで車を走らせ、何とか8時すぎに着いたのですが、何ということか改装中で弊店だったのです。
 がっかりして全身の力が抜ける思いでその場を去りましたが、大通りの信号で停車すると後ろからガツンと追突されてしまいました。車を出て状態を見ると車体の後部が少し凹みトランクの蓋が浮いて閉まらない状態でした。追突車の男二人も車から出てきてイタリア語で何やらゴタゴタ言っていたかと思うと急に車に乗り込んで逃げ去りました。車で追跡する気力もなく、この時間では高速道路のサービスエリアのホテルなら遅くまでやっていると思いそのまま高速に入りました。ところが、サービスエリアが全然なく走り続けて真夜中ちかくになり、仕方なくトリノ市街への出口をでたのですが、まるでゴーストタウンのように街灯が殆どなく真っ暗な街並みが続くだけでホテルもレストランも見当たりません。やむなく高速に戻り次の目的地モンテカルロまで徹夜で走行することになりました。途中サービスエリアがあったので入ると売店が開いていたのでサンドイッチを買い車に戻って食べると1時間ほど眠り運転を再開しました。夜が明け、朝早くHermitage(エルミタージュ)というモンテカルロで二番目に高級なホテルの正面玄関に、「後ろからイタリア人に追突されて」などとポーターに言い訳じみた英語を発しながら、凹んでトランクの蓋が浮いた状態の車で乗りつけました。
 出発前に調べたところ、オテル・ド・パリというのがモンテカルロで最高級でしたが、カジノに出入りするアラブの富豪が定宿にしているようであまりにけばけばしい感じがしたので、その姉妹ホテルでレニングラード(現サンクトペテルブルク)の絢爛豪華なエルミタージュ美術館を連想させる、オテル・エルミタージュの家族4人が泊まれるセミスイートを予約していたのです。それでも生涯で一番高くつく宿泊になりました。モナコ国営のグランカジノ正面前が高級感あふれるオテル・ド・パリとカフェ・ド・パリに囲まれた広場になっていて、グランカジノ前広場に止めてある車を見ると、フェラーリやポルシェなどのスポーツカーに、普通のベンツでは見劣りするのかスポーツタイプや特殊仕様のベンツ、アラブ富豪がよく使うダックスフントのように前後に引き伸ばした特別加工のベンツしか見かけない別世界でした。私のボルボはスペインでは決して引け目を感じることはなかったのですが、ここでは、特に、トランクが凹んで蓋が浮いていてはゴミのように思えました。
 うちの奥さんはシャネルのバッグにジバンシーの自慢のスーツ姿、私はスペインのデパートel Corte inglésで買いたての紺色のスーツに紫色と白の刺繍の縦縞が入ったオシャレな白地のシャツと自慢のネクタイ、娘はかわいい花柄で袖が短いロングなワンピース、息子も髪を7/3に分けジャケットとシャツにネクタイの姿、もちろん子供たちも革靴で颯爽とホテルのレストランへディナーに行きました。レストランの半分がアウトドアになっていて海が眺望できるリゾート風で高級感のある造りでした。私たちは早い時間についたので他に客は殆どいない状態であったのが、そのうち少しずつ客が来て満席になるのですが、来る婦人は誰もが肩を露わにしたイブニングドレス姿で、それに気づいたうちの奥さんは大変な選択ミスを犯したと自覚し額に冷汗印になってしまいました。私は高級なところにも結構出入りしている方でしたが、女性のヘアスタイルや衣服にはほとんど無頓着で必要なアドバイスをしてやれなかったことが悔やまれました。マドリッドの日常生活にあってはモンテカルロの高級な場所の状況を的確に想定するのは容易なことではないのですが、やはり高級な場所は何度も場を踏まないと身につかないことを思い知らされました。
 前回経験した場違いな想いの繰り返しとはなったのですが、エルミタージュ2泊3日のモンテカルロ滞在は、グランカジノ、豪華ビーチ、F1の市街地コースの走行など素晴らしい思い出になりました。もちろんカジノは、お土産を買ってきてあげるといって子供たちをホテルの部屋に寝かしつけてから出かけましたが。



♪ わーい、カノンおばさんたちにあったぞ、わーい ♪













♪ ひさしぶりにあったよ、うれしいな、ボリジョリ ♪













♪ サンデーおばさんたちにはわるいけど、ボク、いっぱいかわいがってもらうよ ♪












♪ ボクがカノンおばさんのママにかわいがってもらってるんだよ、こないでね ♪












♪ カノンおばさん、やきもちやいてあっちへいっちゃったな ♪












♪ へへっ、うれしいとよこになっちゃうんだ ♪












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