マドリッドのプラド美術館は世界でも有数の美術館ですが、その中でスペインを代表する画家は何といってもVelàzquez(ベラスケス、1599/6/6−1660/8/6)とGoya(ゴヤ、1746/3/30−1828/4/16)です。因みに、もう一人のスペインを代表する巨匠Picasso(ピカソ)はプラド美術館長を務めたことがありますが主な活動の場はフランスでした。また、彼の作品の多くは、パリの国立ピカソ美術館、バルセロナのピカソ美術館、マラガのピカソ美術館に収録されています。
さて、プラド美術館正面玄関はベラスケスの肖像が立ちベラスケス門と呼ばれ、スペイン絵画黄金時代の17世紀を代表する巨匠で華やかな宮廷画家として有名なベラスケスですが、彼の家系はユダヤ教徒からキリスト教徒に改宗したconverso(コンベルソ)でした。彼は生涯コンベルソの出自を隠したといわれていますが、そのことが地位や権威を追い求める原動力であったと同時に鋭い人間観察力を身につけさせたとの印象を受けます。アンダルシアの州都セビージャに生まれ11歳で地方の著名な画家であった義父に弟子入りしたベラスケスは、都へ出てフェリーペ4世に気に入られ24歳の若さで国王付の宮廷画家となります。当時、画家というのは絵描き職人としての地位であったのが、晩年には王の側近の地位を与えられ貴族に列せられるまで上り詰めます。「国王フェリーペ4世の肖像」のX線撮影から判明しているようにフェリーペ4世とその家族を描くときはかなり美化して描く一方、イタリア訪問時に描いた「教皇インノケンティウス10世」の肖像は最高位の聖職者というよりは神経質で狡猾そうな一人の老人に描かれ、これが余りに写実的で、描かれた教皇本人が、「この絵はあまりにも現実的すぎて正確すぎる」と苦言したという面白い話があります。人物の内面を写実的に描けば描くほど肖像画は見た人の印象として本人に似てくるものと思いますが、当時は「写実」というのが画家にとって権威や権力に対する武器であり権利あるいは抵抗であったような気がします。
欧米にいると身近な場面でもユダヤ人の存在の大きさに驚かされることがよくあります。スペイン史に登場する有名人では、ベラスケス以外にも、新大陸発見のコロンブス、ドン・キホーテの作者セルバンテス、スペイン内戦後の独裁者フランコなどはコンベルソといわれています。
ベラスケス最大の名作はlas Meninas(ラス・メニーナス、女官たち)ですが、これは非常に複雑な情景の設定で、絵の視点はフェリーペ4世国王夫妻にあり、絵の左側に描いたベラスケス自身が国王夫妻の肖像画を描いている構成で、国王夫妻は、絵の中央に描かれた女官たちを周りに従え豪奢な衣服に身を包む娘の王女マルガリータを優しく見守りその姿が絵の中央奥の鏡に小さく描かれている構図になっています。国王家族といっしょにいる自分自身を顕示したいコンベルソのコンプレックスをも覗かせる作品という印象を受けます。Las Meninasは318×276cmの大作で、この絵をじっくり鑑賞するためだけでもマドリッドのプラド美術館へ行く価値があるように思えます。
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